政務調査費

2017年11月アーカイブ

平成23年度9月仙台市政務調査費訴訟、控訴審の審理終結

平成29年11月14日、仙台市議会平成23年9月から平成24年3月分の政務調査費返還請求訴訟事件について、仙台高等裁判所における控訴審の審理が終結いたしました。


控訴審において、当オンブズマンは、調査旅費について定額方式での支出は許されないこと、人件費について支出の実態が明らかではない場合違法とすべきであること等を主張してきました。

仙台高等裁判所の判決は、平成30年2月8日(木)午後1時15分からとなりました。

仙台高等裁判所がどのような判断を下すのか、是非注目いただければと思います。

【勝訴】平成23年4~8月市政務調査費判決

 本日,仙台地方裁判所第3民事部におきまして,仙台市議会議員に係る政務調査費(平成23年4月から8月)に関する住民訴訟の判決が言い渡されました。

 本日の判決は,オンブズマンの請求額(1443万6060円)に対し,合計1236万9308円を認容しました。認容率は約85.7%と極めて高い判決となりました。

【請求額認容額比較一覧表】

請求認容一覧表.png
      ※ 認容率は小数点以下四捨五入

 本判決は「政務調査費の財源が住民の税負担に依拠しており,その使途の透明性の確保が強く要請される」ことに言及し,政務調査費の支出と調査研究活動との間に合理的関連性を求めました。そして,この合理的関連性の立証については,会派・議員側に客観的な資料に基づく説明を求めました。これに対し,議員側がこれを十分に説明できなかった結果,オンブズマンが指摘した支出の大部分が違法であるという判断に繋がりました。

 従前の判決と同様の判断構造ですが,会派・議員側に客観的資料に基づく説明を求める態度が一貫しているのが本判決の特徴であると思います。

 このような本判決の判断は,昨今の政務活動費の不正支出の問題がはびこるなか,「税金の無駄遣いはやめてけろ」という私たち市民の切実な願いを十分にくみ取ったものと評価します。

 また今回,オンブズマンが特に問題にした選挙期間中(10日間)の政務調査費の支出については,各議員の証言に基づき,政務調査活動を行わず選挙に集中しているという実態が明らかになったとして,本判決は,選挙が行われた月に支出された人件費・事務所費の3分の1を越える額を違法と判断しました。この判断はオンブズマンの主張をほぼ全面的に受け入れたものです。

 さらに,資料購入費等について,1年分ないし半年分を一括購入するのはおかしいというオンブズマンの主張に対しも,本判決は,条例の定めに基づいて年度毎に支出されるべきであると的確に判断しました。

 以上のように,本判決は,条例の定め,政務調査費の手引の定め,さらには私たち市民の想いを踏まえた極めて真っ当な判断をしたものとして高く評価できます。

 仙台市及び各会派・議員は,本判決を厳粛に受け止め,控訴をすることなく粛々と政務調査費の返還手続を履行することを望みます。


【判決を受けてのコメント】

【判決文PDF】
●判決本文

●判決別表
(石上)