自由帖

冬の新彊シルクロードの旅(3)

家畜市場

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 最初の観光は、カシュガル郊外の家畜市場だった。1週間に1度開かれる日曜市だった。市場と言っても、特にそれらしい建物がある訳ではなく、だだっ広い広場に羊、山羊、牛、ロバの取引場が分かれ、また、特にセリ場のような場所はなく、売り買いは直接交渉であった。ロバの売り買いの場面を見ていたが、ロバの売り手の回りには数人の男が集まり真剣な面もちでやりとりをしており、交渉決裂か売り手は「そんな値では売れないと」いった表情でその場を一度離れたが、再び大声で呼び戻されてまたやりとりをし、ようやく交渉成立してか現金をやりとりしていた。ちなみに、ロバ一頭の値段は750元(10500円)位とのことであった。

 印象的だったのは羊だった。何十頭もが横一列に首を繋がれ、と言うことは尻も横一列に並んでいる。尻は肉好き良く丸く二つに分かれていて、女の子のお尻のようでとても可愛らしい。夏にいっぱい餌を食べて栄養分をため込み、冬に備えるとのことであった。尻は脂肪分たっぷりで、シシケバブ(串焼き肉)の場合にはこの部分と肉の部分を交互に串に刺して焼く。旅行中何度か食べたが、この脂身と肉のバランスはピッタリで文句なしに美味であった。

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 市場の一方の側には食べ物屋が並んでいる。家畜市場だけに、羊が丸裸にされたのが店の前にぶら下げられ、それを一口大に刻んで串に刺してケバブにしたり、細かく刻んで小麦粉の生地で包ん焼くサモサにしたりして売っている。当然、ナンやスープも売っている。店のおじさんやお兄さんはみんな元気で愛想がいい。カメラを向けるよポーズまでとってくれる。

観光の第一歩がこのような地元の人との好もしい出会いであり、以後政情不安のことなどすっかり忘れてしまった。