自由帖

九塞溝・黄龍6日間(3)

チベットの祈祷旗タルチョ

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成都空港からのローカルな飛行機で九塞溝空港に降り立ったが、そこは、標高3500メートルの山を削って造られた空港であった。
4年前に開港したとのことでまだ新しかった。
ここは世界自然遺産「九塞溝」「黄龍」の玄関口に当たる。
改革解放後、中国も観光に力を入れているが、ここもその一つで、外国の観光客からも注目を集め多くが訪れるようになっていた。
しかし、前記のチベット騒動の影響で、見たところ外国人観光客は我々だけであった。

専用バスで深い山間を縫いながら、次第に標高を落としてホテルに向かった。
途中、峠や山の斜面や民家の屋根の上に、5色の旗が風に靡いている光景が印象的であった。
旗には仏教の経文が印刷されていて、それが一度風にたなびくと一度読経したことになると言う。
タルチョ(読経旗)というのだそうだ。
これで我々はチベット地域に入ったことは明らかだった。
                    
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九塞溝の村に近づくに連れて観光客用の綺麗なホテルが目立ってきた。
しかし、経営者はみな漢族の人で、チベット人はただ従業員として雇われているだけということだ。
ここだけでなくチベット自治区内では大々的な観光開発が進んでいるが、その利益はほとんど漢族に吸い上げられるだけということで、あのチベット騒動もその当たりの不満にも帰因していると言われている。
近時、中国の大国家プロジェクトとして開通した青海省西寧とチベット自治区の首都ラサを結ぶ青蔵鉄道も、チベット民族としては「文化の大虐殺のための道具」(ダライ・ラマ)と意識されていると本で読んだ(「チベット侵略鉄道 中国の野望とチベットの悲劇」)。
私もこの鉄道でラサに行ってみたいと思っているが、こういう事を知ってしまうと、単に浮かれた気分で行くことがためらわれる。どうしよう。

ホテルには夜遅くに着いた。
食後、同行のご夫妻持参の高級ワインをご馳走になった。
こういう意外性は嬉しい。