宮城県議会議員は、4年間の任期のうち、1人120万円までの旅費を使って海外に「視察旅行」に行くことができます。
しかし,オンブズマンが「海外出張報告書」を入手して分析してみるとその実態は観光的要素が多く、費用対効果も疑問のあるものでした。そこで、オンブズマンは、監査請求を経て、平成19年6月6日、3つの視察旅行に絞り、仙台地裁に住民訴訟を提起し、平成20年11月17日、旅行に参加した中島源陽議員の証人尋問がおこなわれました。
中島議員は、平成15年8月26日~9月9日の15日間、3名の議員とともに、ルーマニア、ギリシャ、イタリア、スイス4カ国を訪問する旅行に行っています。
フィレンツェでは、ウフィッツイ美術館、ミケランジェロ広場に行き、ミラノでは、「最後の晩餐」をみて、ドゥオモに行き、ジュネーブでは国連を見学しています。イタリアやスイスに行ったら必ず行く観光名所です。しかも、自分たちが頼んだガイドさんと一緒に行っています。
目的地の選定も、テーマにそって複数の候補地があったのではないとのことでした。行きたい国が先にあって、視察テーマはあとづけでは?と思えます。
さらに、この旅行の報告書に、菊地健次郎氏が「昼食会で強い酒が入ったせいか、午後はちょっと視察できない風体のものがあり」と記載しています。
しかし、中島議員は、「私は、乾杯のいっぱいだけで、昼食後は4人で視察し、説明を聞いた」と証言し、菊地議員の報告書について「記載者の主観である。私の記憶では、ちょっと視察できない風体というのはいなかった」としています。他方で、中島議員は、午後の視察を考えて乾杯だけにとどめたということで、「報告書記載のような状況だと、確かに視察に対しては十分な状況ではなったことになる」と証言しています。
報告書記載のとおりの状況であったら公金を使った海外視察であるにもかかわらず県政に役立つ調査ができていないことになりますし、中島議員の証言のとおり報告書記載の状況がなかったとしたら、菊地議員の報告書が事実に反することになってしまいます。
尋問によって、観光旅行、無駄遣いの海外視察の実態が明らかになってきました。残り2つの旅行についても、尋問が行われ、さらに海外視察の実態が明らかになります。
次回以降の日程は次のとおりです。ぜひ、傍聴してください。
次回 平成20年11月25日(火)午前10時から正午
平成18年10月15日~19日のフランス旅行について、石川光次郎
議員の尋問が行われます。
次々回 平成21年1月20日(火)午前10時から正午
平成16年5月5日~15日のナイヤガラ・バンフ旅行について、渥美
巌議員の尋問が行われます。