費用弁償

2008年11月アーカイブ

費用弁償の是正を求める!!

 北海道・東北市民オンブズマンネットワークでは、「費用弁償」の支給状況を調査し、不正支出の見直しを求めるため、各県や市で一斉に住民監査請求を行いました。

 私達の問題意識は、河北新聞一面(5月18日)にも取り上げられ、市民のみなさんにも知って頂くことができました。そして、現在、一部の自治体では、「費用弁償」の見直しの動きがあります。

 今日の河北新聞(11月20日)に、宮城県議会での「費用弁償」見直しの議論状況についての記事が掲載されていました。

 この記事によれば、宮城県議会では、定額+交通費(1㎞につき車賃90円)とすることを検討しており、仮に定額分を4000円とすると、約2割ほどの減額が見込めるとのことです。

 しかし、これが本当に見直しと言えるのでしょうか?

 定額+交通費という算定方法は、現在も同じです。定額部分については、現在、宿泊費と日当であるものをその不合理な実態を隠そうとして、単に定額○○円と変えようというだけです。

 しかも、車賃については、現在、1㎞につき47円であるものを90円に増額しようというのです。車賃90円という金額は、現在、高額すぎると非難されている「政務調査費」の支給基準と同じです。

 ほとんどの議員は、議会に自家用車で通勤していますが、「県議会議員の報酬等に関する条例」「職員等の旅費に関する条例」には、自家用車を利用して勤務地以外に出張する場合などの車賃を1㎞につき37円と定めています。この倍以上の金額にする理由はあるのでしょうか?

 そもそも、議会の出席の際に支給される「費用弁償」とは、「通勤手当」です。県の職員は、通勤距離に応じて、月額2200円から33000円の通勤手当の支給を受けています。議員だけ特別に日額で最低でも4000円もらえる理由はあるのでしょうか?

 残念ながら、議員の方々には、「既得権益」を守ろうという意識しかありません。

 国会議員の場合には、過去に「応召帰郷旅費」として、会期ごとに選挙区との往復旅費相当額を支払われていました(昭和59年に廃止されました。)。地方議会議員は、職業政治家として国会議員と同様であるとの自負心からなのか、「費用弁償」のことをよく「応召帰郷旅費」という言い方をします。

 国会議員が既に廃止したものを、地方議会議員が未だに「既得権益」として保持しようとする理由は何でしょうか?地方議会議員に職業政治家としての矜持があるならば、「費用弁償」「応召帰郷旅費」は、廃止されるべきです。

 少なくとも「費用弁償」は、市民の常識の範囲に見直されるべきです。

 仙台市民オンブズマンは、「費用弁償」の真の是正を求めます。

 

 

 

 

費用弁償返還請求訴訟 第1回

 11月6日、費用弁償返還履行請求訴訟の第1回口頭弁論が行われました。宮城県からは答弁書が提出されており、専ら、最高裁判決平成2年12月21日の判断と、その原審である高裁判決を引用して、請求棄却ないし却下を求めています。

 「費用弁償」の問題は、これまでも全国的に取り上げられてきており、千葉県市川市において、昭和61年に支給された費用弁償について問題とした住民訴訟では、既に最高裁において判断がなされています。

 宮城県の主張は、この市川市の事件での被告側の主張を踏襲するものとなっています。

 市川市の事件で最高裁は、「あらかじめその支給事由を定め、それに該当するときには標準的な実費である一定の額を支給することも許され、この場合、いかなる事由を支給事由と定めるか、また、一定額を幾らとするかは、右議会の裁量判断にゆだねられている」と判断しています。

 私たち仙台市民オンブズマンの活動は、専らこの「裁量」の意味を問うものといえるでしょう。

 宮城県の「費用弁償」の算定方法は、日当3,300円宿泊費7450円に移動距離往復50km以上の場合に1kmあたり車賃47円を加算するというものです。このような支給が「裁量」の範囲内といえるのでしょうか?

 自治体・議会のなすことはすべて「裁量」があるから許されるというものではありません。

 「裁量」も無制約ではなく、当然限界があるはずです。その限界とはまさに私たち市民の常識であるはずです。私たちの常識では、宿泊もしなかったのに宿泊費を請求したとしたら、当然非難されます。また、月給を貰っている会社員が、会社に通勤する度に日当を貰えるなどということもありません。

 このような世間では当然の常識が、なぜか議員になると失われてしまうのです。私たち市民には、議員がどのような活動をし、報酬を幾ら貰っているかはなかなか把握出来ません。まして、「政務調査費」や「費用弁償」という名目でお手盛りを重ねていることなどはあまり知られてはいないでしょう

 仙台市民オンブズマンは、違法支出の実態を明らかにし、議員を監視します。

 

 次回口頭弁論は12月15日に予定されています。

 今後の裁判の動向に是非ご注目ください。

 

費用弁償返還請求訴訟 

 地方議会の議員が議会や委員会に出席した際、宮城県では、距離に応じて10,800円から20,200円、仙台市では、1万円が「費用弁償」の名目で支給されています。仙台市民オンブズマンは、この「費用弁償」の問題について、平成20年6月19日、住民監査請求を申し立て、宮城県監査委員の棄却決定に対して、9月10日、住民訴訟を提起しました。

 地方自治法は「職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる」と規定していますが、「費用弁償」とは、職員の出張や旅行などの際に生ずる費用の「実費弁償」を認めるものです。宮城県と仙台市は、この規定を根拠にして、年間で、それぞれ約5300万円と約4200万円を議員への「費用弁償」として支出しています。

 宮城県と仙台市が「費用弁償」として議員に支給している金額は、実際の移動に要する交通実費と比較しても異常に高額です。その実態は議員の日額報酬にほかありません。

 議員は議会に出席することが本来の仕事であり、議会の出席は出張や旅行ではありません。そもそも、議会出席の対価は高額な月額報酬(84万円)として支払われているのですから、月額報酬の他に「費用弁償」を支給する必要はないのです。

 福島県の矢祭町においては、条例を改正して、議員の月額報酬を廃止し、議会などに出席した場合の日額報酬だけの支給としています。議員が議会に出席した場合にだけ、その対価を支払うことは非常にわかりやすいことですし、議員自ら経費削減に貢献することができます。

 この矢祭町の取り組みは示唆に富んでおり、議員の仕事の本当の意味を問うています。議員が議会に出席することは「議員の職責」ですから、月額報酬の他に日当を支給する必要はありません。実費を超える「費用弁償」の支給は「報酬の二重取り」と非難されてしかるべきです。また、非課税扱いされている費用弁償名目で報酬を支給することは議員の税金逃れなのです。

 宮城県と仙台市の議員は高額な月額報酬の他、政務調査費や費用弁償の名目での「お手盛り」を重ねています。県や市の財政難がいわれる今日、まず、自治体の財政を監督すべき立場にある議員自らがその浪費を正すべきです。