本年4月13日に言い渡された東北文化学園住民訴訟の判決文(全文,一部匿名)をアップします。
公認会計士さんの業界では大きく話題になっているようです。ただ,本件の残高証明書の偽造という手法は古典的なものですから,金融機関からの直接取り付けを怠った責任を問われるのは当然です。
そごう
1 本日13時10分、法廷にて判決主文が読み上げられました。
「主文。被告は、被告補助参加人新日本有限責任監査法人及びA(監査担当の公認会計士)に対し、連帯して、7億7908万1788円及び(略)年5分の割合による金員の支払いをするよう請求せよ」
原告側の主張を全面的に認めた完全勝訴判決。そして大変常識的かつ合理的な判決でした。以下、簡単に判決内容をご紹介いたします。
2 今回の判決のポイントは2つです。
1つは、大学設置認可に際して財産目録の監査を担当した監査人には重大な責任があることを明らかにしたことです。
本件では監査人が①直接金融機関に対し残高確認を依頼しなかった点、②スクールバス2台につき自動車登録(車検証)の名義確認を怠った点が過失と認定されました。
そして仮に上記①②が果たされていれば、東北文化学園大学が設置認可され、仙台市から補助金が支出されることはありませんでした。これが2つ目のポイントです。
監査人A及び監査法人は、上記「因果関係」について、監査人Aは仙台市から補助金が支出される具体的に予見していなかったと主張していました。しかし、判決では何らかの補助金が支出されることは予見出来ていたはずだと認定され、そのような主張は通りませんでした。
従って、仙台市が東北文化学園大に支出した約8億円の補助金のうちすでに被害弁償されている分を除いた約7億8000万円につき請求が認容されました。
3 仙台市へ求めること
最も重要なことは、今回の判決が私たち仙台市民にとっても大変有利な内容のものだということです。ご存じの通り仙台市も他の自治体同様財政難に見舞われておりますが、本判決に基づき仙台市に数億円の被害が回復されれば、市政や私たちの生活にもよい影響が期待されます。
従って、仙台市は、私たち市民のために控訴を断念し、速やかに被害回復(監査法人らへの請求)を図るべきではないでしょうか。監査法人らには相応の支払い能力があるはずです。仙台市が賢明な決断をされることを期待します。
オンブズマンのコメント→ 判決コメント.pdf
みうら
平成11年月3日に仙台市は東北学園大学(以下「学園大」と言います。)設置認可の際約8億円もの補助金を支出しました。この補助金支出は文部大臣による学園大の大学設置認可を前提として交付されたものでした。しかし、実際は大学設置認可申請の際、学園大が故意に負債を隠したり、本当は寄付がないにも拘わらず56億円分以上の寄付があったと偽装するなどして、財務状況を健全なものに見せかけ、不正に文部大臣の大学設置認可の許可を得たものでした。
仙台市民オンブズマンは、このような偽りの財産状況を作り出し大学設置認可申請をした学園大の財務部長と、十分な監査をしなかったために偽りの財産状況を発見できなかった会計士、そして当該会計士を雇用していた監査法人には、仙台市に約8億円もの補助金支出という損害を生じさせた責任があると考えました。なぜなら、真実の財産状況を前提とすれば大学設置認可されなかったはずであり、そうであれば当然仙台市が補助金を支出する前提に欠けるからです。
平成17年4月8日、オンブズマンは「仙台市は学園大の財務部長や会計士、監査法人に対し8億円余の支払を請求すべきである」との内容の訴訟を提起しました。現在、仙台地方裁判所での審理は大詰めを迎え、次回結審見込みです。
次回期日 平成20年12月1日(月)午後1時15分 結審見込み
