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北海道・東北オンブズマンネットワーク山形例会に参加してきました

1 はじめに

 

平成26年6月14、15日にわたり、山形県山形市において、「北海道・東北オンブズマンネットワーク山形例会」が開催されました。同例会は、1年に2会行われ、重要なトピックについて報告・議論がなされるほか、各地の活動等についても報告がなされる等、重要な場となっています。

当オンブズマンからは合計11名が参加しました。以下、ご報告いたします。

 

2 第1日目

 

第1日目は、「入札談合を追及する方法」、「政務活動費は政務調査費からどう変わったのか」と題して、重要なトピックである入札談合問題、政務活動費問題について報告・議論が行われました。

 

● 入札談合を追及する方法

 

市民オンブズマン山形県会議では、入札談合問題について画期的な判決を獲得されています。

事案は、山形県が発注した橋梁工事の入札に際し、被告補助参加人らを含む「K会」等に所属する会社らが談合をし、受注予定者を決定し、不当に高い価格で落札したことにより山形県が損害を受けたことについて、合計11件について損害賠償請求を怠る事実の違法確認等を請求したというものであり、山形地方裁判所判決(平成21年3月10日)、仙台高等裁判所判決(平成22年3月12日)を経て、最終的には全11件の談合が認められたというものです。

 

最初に、本訴訟を担当された佐藤欣哉弁護士から、本訴訟の帰趨について解説をいただきました。

過去2年間の全工事に係る入札調書を情報公開請求し、分析の上、うち、20件について住民監査請求を経て、本訴訟を提起した経緯について説明をいただきました。文書送付嘱託の申立てや刑事確定記録等の閲覧・謄写等を活用した談合の事実の立証方法について詳細な説明をいただき、具体的イメージを持つことができました。当時の苦労話などにも触れていただき、とても貴重な話を伺うことができました。

 

次に、藤田稔山形大学教授からご講義をいただきました。藤田教授は、独占禁止法を主に専門とされ、山形県入札監視委員会の委員長を務められた経験もあります。

まず、前記談合事件判決の意義についてご講義いただきました。本判決は、事実認定を詳細に行っていることに特徴があるほか、入札談合が独占禁止法2条6号及び同法3条後段に該当することを認定せずに共同不法行為を認定しているとのことであり、同様の理論構成は他の住民訴訟(大阪高判平成22年7月23日等)でも見られるとのことであり、今後の入札談合事案でも参照されるべきものと思われます。

その後、公正取引委員会の調査資料の入手方法についてご講義をいただきました。重要な規定としては、文書送付嘱託(民事訴訟法226条)による開示請求とそれに関連する通達「独占禁止法違反行為に係る損害賠償請求訴訟に関する資料の提供等について」(公正取引委員会ホームページで公開されています。)、独占禁止法39条、審判開始後の事件記録については同法70条の15等があるとのことです。この他、文書提出命令(民事訴訟法220条)による対応についてもご講義いただきました(大阪地決平成24年6月15日も参照。)。入札談合の立証方法については困難な問題を伴うため、大変勉強になりました。

また、入札監視委員会制度についても、ご経験に基づき、大変貴重なご講義をいただきました。

 

● 政務活動費は政務調査費からどう変わったのか

 

その後、政務活動費について、市民オンブズマン山形県会議の渡辺寛司法書士から、歴史的経緯に遡った詳細なご報告をいただきました。

平成25年4月1日施行の改正地方自治法においては、「政務調査費」という名称が「政務活動費」に改称され、「議員の調査研究に資するため」から、「議員の調査研究その他の活動に資するため」の経費としての交付が定められました。同改正に伴う具体的な使途毎に支出が許容される経費の範囲等については今後も継続して検討が必要と思われ、当オンブズマンでも継続して研究を重ねています。

 

● 懇親会

 

 その後は、山形市内で懇親会が行われました。山形の郷土料理に舌鼓を打ち、各地のオンブズマンの方と交流することができ、とても楽しい山形の夜となりました。

 

3 2日目

 

2日目は、北海道・東北オンブズマンネットワーク山形例会が開催されました。

各地のオンブズマンから活動報告がなされ、意見交換が行われました。当オンブズマンからは、原田事務局長が、政務調査費訴訟、県議会海外視察問題、国際コンベンションセンター施設問題等について報告がなされ、各地のオンブズマンから貴重な意見をいただくことができました。

 

4 さいごに

 

 今回の例会では、入札談合問題を中心として議論がなされました。仮に、入札談合が発生した場合、地方公共団体に多大な損害をもたらしうるものです。当オンブズマンでは、引き続き、入札談合問題についても研究を重ねていきます。

 

(宮腰英洋)