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震災がれき処理問題について

 震災がれきの処理問題について、オンブズマンは監査請求をしたうえ,会計検査院に不当な処理があったことを情報提供しました。

 宮城県は、石巻ブロックの震災がれき処理のために、鹿島JVと1923億6000万円で災害廃棄物処理委託契約を締結しました。処理業務は順調に推移し平成24年9月には全焼却炉が本格稼働を開始しました(1日当たり1588.5トンの焼却能力)。当初県受託分の災害廃棄物1107万トン、津波堆積物408万トンと推計されましたが、その後推計量の見直しが行われ、平成24年7月時点では災害廃棄物683万トン、津波堆積物237万トンと約4割も減少しました。石巻ブロックでの災害廃棄物の処理量も785万トンから310万トンに、津波堆積物の処理量は292万から43万トンに減少しました。

 ところが宮城県は災害廃棄物の広域処理の必要性があるとして、平成24年8月、北九州市と委託料6億2220万4628円で災害廃棄物処理委託契約を締結しました。また北九州市に災害廃棄物を選別・搬送するために鹿島JVとの契約を変更してその費用11億3820万円を増額しました。しかし北九州市で処理される廃棄物の量は僅かに2万3000トンです。災害廃棄物等の処理量が大幅に減少し、県内での焼却処理体制が整ったのですから災害廃棄物を県外で焼却処理する必要は全くありません。

 それを高額な選別・搬送費用をかけてまで北九州市に運んで処理するなど税金の無駄遣いです。そこで仙台市民オンブズマンは上記処理費用と増額分合計17億6040万4628円について宮城県知事に返還させるよう監査請求を行いました。

 宮城県監査委員は、県に損害がないことを理由に請求を棄却しました。本件処理費用と増額分は全て国の補助金によって賄われるので県には損害はないというのです。もともと災害廃棄物の広域処理は、震災復興に取り組んでいることを政治的にアピールするために国が言い出したことで、必要ないことは県は百も承知でした。官僚と政権のパフォーマンスのために本来震災復興に用いられるべき17億6040万4628円もの税金が無駄にされたわけです。

 本件監査請求が棄却されたのは、自治体の財政チェックという制度趣旨からしてやむを得ない結果です。本来であれば国レベルの監査請求制度が設けられるべきなのです。しかし残念ながらそのような制度が存在しない現状においては、国の財政支出のチェックは会計検査院による検査しかありません。そこで仙台市民オンブズマンは2013年5月27日会計検査院に対し、本件補助金交付について国及び宮城県に対し選択的検査を行うよう情報提供を行いました。
                                            坂野