直轄事業負担金問題

【不当判決】市直轄事業負担金 仙台地裁判決


平成23年2月10日,仙台市に対し,国に直轄事業負担金の返還を求めるよう要求していた裁判に関する判決がありました。

仙台地方裁判所第3民事部はオンブズマンの請求を棄却しました。

 この裁判の内容については,宮城県の直轄事業負担金の件と同じです。

 本判決は,道路法や河川法に基づいて国が地方自治体に負担を求めることのできる「費用」の範囲については,直轄事業の必要性と地方公共団体の住民自治及び団体自治の調和の観点から一定の限界があると指摘しました。そして, 「当該費用の支出の目的,効果と地方公共団体に対して生ずることが想定される受益と関連性並びに費用負担の方法及び金額の相当性等の見地から見て,その支出が不合理と認められないことを要する」という基準を立てました。
    そして,本判決では,大要,仙台河川国道事務所は,国道の管理に必要な施設であり,継続的に敷地を利用するためには、敷地購入費用も必要なので、仙台市に負担を求めても不合理とはいえない,といった理由で原告の請求を棄却しました。

   先日の宮城県の判決とは異なり,一定の限界がある,と指摘した点については評価できます。しかし,「不合理と認められないことを要する」という基準は,何らかの理由が付けられればよい,という意味であり,結局は国の支出を追認するための論理でしかありませんでした。国と地方の財政関係を起立している地方財政法にもっと配慮していれば,このような結論にはならないはずです。

    オンブズマンとしては,これを不服として控訴しました。

                                   畠山