直轄事業負担金問題

2010年2月アーカイブ

直轄事業負担金問題の今後の動き

直轄負担金の返還を求めて訴訟が進行中ですが、全国知事会の要望や民主党政権の方針に基づき、国土交通省のワーキングチームは、本年1月15日、廃止に向けた行程表の案を公表しました。
それによると、
①平成22年度は維持管理に係る負担金を特定の事業を除き廃止する(各法律の改正法案を通常国会に提出)。平成23年度には全直轄事業について維持管理の負担金を廃止する。
②負担金の内容となる基本負担額の算定から人件費や事務費といった「業務取扱費」を除外する(法律に明記するのか否かは言及されていない。公共事業の補助金の算定においても事務費を除く)。
③平成25年度までに現行制度の廃止とその後の在り方について結論を得る。
④平成21年度分は、当初の予定額通知を見直したうえ詳細な負担金の内訳書を提示する(見直しで、職員の退職手当分の人件費や営繕宿舎費を予定額から削除する)。
ということになるようです。
訴訟の対象である仙台河川国道事務所の庁舎移転先の「用地購入費用」は、「業務取扱費の中の事務費に含まれる営繕宿舎費」です。
今回の見直しにより、平成21年度からは仙台河川国道事務所の移転建設費用は、宮城県や仙台市が支払う必要がなくなりますが、問題は今まで支払った分の処理です。
法律で負担させる費用の内容は定まっています。費用の内容を、勝手に国土交通省が決めることはできません。正しい法律の解釈によって内容が定まります。
私たちは、個別的な事業を行うための工事費や人件費・事務費は負担金の対象だが、事業を担当する組織(役所)の設置やその維持運営のための費用は、法律上の負担金の対象ではない旨主張してきました。
今回の国土交通省の対応は、私たちの主張と結論的には同じですが、訴訟の対象となった用地購入費用を返還しなければ、「法律に基づく行政」とは言えません。宮城県や仙台市がどうするのかという点も含めて、今後の訴訟の動きに注目したいと思います。

                                                                         まつざわ