直轄事業負担金問題

【提訴!】直轄事業負担金問題(宮城県+仙台市)

提訴にあたって

 7月22日、直轄事業負担金の問題で宮城県知事と仙台市長を被告にした住民訴訟を提起しました。
 平成20年度に国に対して支払った負担金の中に、仙台河川国道事務所の移転先用地の取得費用の負担分がありますが(宮城県が約1億5700万円、仙台市が約2600万円)、それを国から取り返す請求をせよという内容の訴訟です。

 国が国道や河川の建設や維持管理を行った場合、地元自治体に対して受益に応じ一定の割合の負担金を請求することが、道路法や河川法に規定されていますが、どのような経費について負担金の請求ができるのかは、法律に明確な定めがありません。
 あたりまえの解釈では、実際に建設工事や維持管理に直接的に必要な経費のみが負担の対象と考えられますが、河川国道事務所の敷地取得代金までが負担させられていたのです。
 これらの「直轄事業負担金」と呼ばれる負担金は、その明細が明らかにされないまま地方自治体に請求されて支払いが行われてきました。本年3月末から内容がだんだんと明らかになり、京都府知事が、「工事現場のプレハブ事務所なら負担金の対象となるが、国道事務所等のビルについてまで負担金を取るのはおかしい」と声をあげ、大阪府知事が「ぼったくりバー」みたいと表現するなど批判が強まり、全国知事会は、制度の改善がなければ今年度の負担金の支払いを拒むという申し合わせをしています。

 地方財政法12条は、国の機関の設置、維持及び運営に必要な経費は、法律で定めない限り地方公共団体に負担させてはならない旨規定しており、道路法や河川法に、「河川国道事務所の設置」などの固定経費(業務の多寡に関わらず必要な機関の設置・維持運営の経費)を負担させても良い旨の規定がない以上、用地取得費について負担金を徴収したのは、法律違反の行為であることが明らかです。
 今回の提訴は、全国でもはじめての訴訟であると思います。
 地方分権や法治主義を徹底するには、法律が書いていないことを利用して行われている「官僚支配=官治主義」で構築された「制度」(これは「法制度」ではない)を、きちんとした法律の解釈適用によって打ち破ることが必要と思います。
                                                                     松澤