仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • 県議会費用弁償訴訟(8)

     3月18日、県議会費用弁償の裁判がありました。

     期日間にオンブズマンの側で、議員全員に対し実施した書面尋問の結果を集計し、準備書面で主張しております。

     書面尋問に対し議員からは、概ね正直に答えていただけたようですが、一部、県の算定基準そのままの回答や、車両購入費や維持費なども考慮すべきといった回答(このような主張は政務調査費訴訟において退けられました。)があったことは残念です。

     殆どの議員は、議会の通勤に自家用車を利用しています。(一名だけ往復ともタクシーを利用しているとの回答もありました。)。

     回答の中で目に付いたのが、偶に帰りだけタクシーを利用する時があるという回答や、それほど遠方の議員でもないのに偶に宿泊するとの回答です。加えて、週に2、3度は夜に親しい議員で懇親会をするという回答もありました。

     要するに、議会の後の懇親会で飲酒したため、車を運転できなくなって、タクシーを利用したり、遅くなって泊まってしまうこともあるということです。このようなタクシー代や宿泊費が私達の税金から支出されるべきでないことは言うまでもありません。

     多くを占める仙台市内の議員の場合、数百円程度あれば議会を往復できます。

     気仙沼など遠方の数名の議員は、宿泊が必要な場合もありますが、宿泊費を入れたとしても、一日につき1万円に近い金額が過分に支払われています。そもそも、このような議員に対して、宿泊費の支給が必要であるというのであれば、宿泊の度に支給すれば足り、全ての議員に対して宿泊費を計上した費用弁償を支給する必要は全く無いと言えます。

     

     次回の裁判は、5月13日となりました。

     裁判も終盤です。

     

     

    控訴審も勝訴!

    以前からこのブログでも紹介している東北文化学園大の補助金支出に関し会計士、監査法人の責任を追及している裁判の判決がありました。

    事案の概要

    オンブズマンメンバーが、学園大が文部大臣に虚偽の財産目録を提出して大学設置認可を受けて四年制大学を開設したことについて、財産目録の監査を担当した会計士・監査法人に過失があり、そのため、仙台市が、大学設置認可がなければ支出しなかったはずの学校法人に対する補助金相当額の損害を被ったとして、仙台市に対し、会計士らに損害賠償請求をするように求めた事案です。

    なんと!1審(仙台地裁)に引きつづき、控訴審(仙台高裁)でも勝訴です!!

    高裁の判断は、1審とほぼ同じであり、
    ずさんな会計監査の実態を指摘し会計士・監査法人の責任を認めたものでした。

    ※高裁で認められた会計士の責任の内容:

    預金残高及び借入金残高の確認に際しては、学園大の不正を出来る限り排除するために、会計士は学園大に任せず自ら残高確認依頼書用紙等を金融機関あて直接投函するなどして学園大を介さずに残高確認依頼書用紙などが金融機関に届くようにする義務があるところ、会計士はそれを怠った過失(会計士は、金融機関への投函を学園大担当者に任せた)。

    ②会計士が、学園大担当者に対し、残高確認書について必要数に余部を加えた数を交付した過失。(→残高確認書は金融機関が作成するための用紙であり学園大に余部を交付する必要性はない。むしろ学園大による残高確認書の偽造を招く。

    ③スクールバスの自動車登録の確認を怠った過失

     

    会計士らによる因果関係がない旨の主張も、高裁では全て排斥されました。

    従って、会計士と監査法人には、仙台市に対して損害金を支払うべきであると判断されました。

    さらに会計士らは、

    仮に責任があるとしても本件補助金の交付という結果に向けて関与したのは
    会計士・学園大だけではなく、第三者も含まれるのだから
    全責任を会計士に負わせるべきではない

    と主張しました。

     

    しかし・・・

    高裁は、

    「会計士の過失のうち、
    少なくとも残高確認依頼書を直接投函せずに学園大に任せた過失(過失①)、
    残高確認書の余部を交付した過失(過失②)
    については、
    被監査人が介在することによる不正を出来る限り防ぐという
    残高確認の趣旨に反した単純かつ基本的な過失

    「監査制度の趣旨に照らせば、
    会計士に単純かつ基本的な義務違反が認められる本件において、
    会計士、監査法人らが負う損害額について
    特に軽減しなければならない事情があるとまでは認められない。」

    「仮に他の第三者が本件偽装工作に関与しているとしても、
    加害者側の事情は加害者間の求償により解決すべき問題であって、
    被害者に対する関係で参加人らが責任を負う損害額を
    限定すべきであるとまでは言えない。」

    と判断しました。

    1審に引きつづき結論は妥当で、非常に論理的、説得的な判決でした!

     

    ちなみに、監査法人・会計士は仙台市からどのくらいの金額の返還請求をされることになるのか・・・興味ありますか?
    なんと、遅延損害金を含めれば、11億円以上を仙台市に返還することになるそうです・・・。
    上告をしてさらに支払を滞らせれば、一体いくらになるのでしょうか・・。
     ・・・余計なお世話かもしれませんが、心配してしまいます(^_^;)
    早めに仙台市に返還していただき、結果として仙台市に有効に活用されることを願っています。

    それから、
    今回問題となった監査法人は、全国4分の1のシェアを有する法人だそうです。
    4分の1の企業全てに対し、
    これまで本件のようなずさんな監査をしていたとまでは言いませんが、
    今回の判決を教訓にして、今後は適切な監査をし、会社自体や株主、社員、社会の利益を守って欲しいと思います。

     文責;みうら

    【裁判報告】県行政委員報酬差止訴訟

    本日午前10時00分から、仙台地方裁判所第1民事部において、宮城県行政委員報酬差止訴訟の期日が開催され、期日間に提出した原告準備書面を陳述しました。
    行政委員とは、選挙管理委員会や労働委員会、教育委員会等、行政官庁の一種でありながら、それとは独立した機関に属する委員のことを指します。これらの行政委員の中には、年間にたった数日しか働いていないにもかかわらず、年間200万円以上の報酬を受け取っている者もいます。
    現在、仙台市民オンブズマンでは、この労働に見合わない高額な報酬を支出することが違法であるとして、公金支出差止を求める訴訟を提起しています。
    本日原告が陳述した準備書面では、宮城県の各行政委員の時給を算出した上で、それが如何に常軌を逸して高額であるかを指摘しています。
    この算出結果によると、平成19年度の行政委員の平均時給額は11万0373円、平成20年度は8万7891円となっています。宮城県の経験年数20年の大学卒程度の一般行政職時給額が約2051円(※平均給料月額及び勤務時間から勤務日数月22日として算出)であることと比較してみれば、この報酬額が如何に高額なものであるかは明らかです。
    ある労働委員には、年間勤務時間がたった2時間ほどであるにもかかわらず、年242万4000円の報酬を受け取っている者もおり、その時給は108万5535円であるという信じがたい結果がでています。
    宮城県の財政状況は、現在非常に厳しいものとなっています。切迫した現在の財政状況を打開するためにも、不当に高額な報酬を委員に拠出し続けている元凶である月額報酬制は廃止し、直ちに日額報酬制に切り替えられるべきです。
                                                              くまがい

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