仙台市議の海外視察地裁判決に対するコメント
平成20年12月18日
仙台市民オンブズマン
1 判決の要旨
イタリア視察をした市議4名に対し,最後の1泊分の宿泊費8万2400円及び最終日のガイド・アシスタント費用4万6000円の連帯請求を命じるにとどまった。
視察目的と実際の視察内容との関連性が明確でなくても,「本来の視察目的の調査が阻害されたり,視察行程が不当に延びたり,視察に要する費用が著しく過大になるなどの事情」がなければ適法と判断した。
2 評価
議会の裁量を著しく広範に認めており,時代遅れの判決である。平成17年5月12日の大阪高裁判決からも大きく後退している。大阪高裁は,「視察日程の一部ではあっても,当該日程が専ら観光目的など視察目的と何ら無関係に組まれ,そのために公金が支出されている場合には,当該日程部分についての公金の支出は,裁量権の逸脱又は濫用に当たり,違法である」と判断している。
本判決は,視察日程を個別に検討し,「関連性が明確であるとまではいえない」「関連性を有しているというには疑問が残る」などと認定しながら,これが結論に活かされていない。もし,大阪高裁の上記基準に照らせば,上記の認定部分の公金支出はすべて違法と判断されたはずである。それを,「本来の視察目的の調査が阻害されたり,視察行程が不当に延びたり,視察に要する費用が著しく過大になるなどの事情」がなければ適法と救済している。
関連性が明確でない視察先を省けば,もっと短期間の日程で費用も節約して実施できるから,仙台地裁3民の基準でも,丹念に検討すれば違法だとの認定は可能だったはずである。それを適法としているのは不当である。
議会のお手盛りを厳しく裁くべき裁判所がその職責を果たしていないし,市民感覚から乖離していると指摘せざるを得ない。
3 オンブズマンの対応
本日の例会で控訴を検討する。